小売売上高は、消費者の購買活動を直接反映する経済指標であり、マーケットにおいて重要な役割を果たします。
GDPの約7割を占めるのがこの小売売上高であり、先々の米国経済、速報値としてはGDPを予測する上でも大切です。
消費者支出の変動が経済全体に与える影響は大きく、小売売上高の構成要素を分析することで、今後の市場動向を予測しやすくなります。
この記事では、小売売上高の5つの主要な構成要素について具体的なデータとともに解説し、予測に役立つ指針を提供します。
また、本日2024年10月17日は小売売上高の発表と同時に、新規失業保険申請件数とフィラデルフィア連銀製造業景気指数も発表されます。それらについても触れていきます。
同時発表で値動きが荒れることも予想されますので、慎重に判断したいです。
DAKURAブログでは、前々回の8月15日の発表でもその強さを事前に投稿して的中してるわ。
9月17日の前回の小売は、予想を上振れるものの前回より上振れを的中させたな。
同時刻発表のフィラデルフィアでは、円安を的中させられているわ。
小売売上高の影響
- 株式市場への影響
小売売上高が予想を上回る結果の場合、消費者の購買意欲が高まり、企業の売上や利益が増加する期待が強まります。これにより、企業の業績が改善するとの見込みから、株価は上昇傾向を示すことが一般的です。
特に、消費関連の企業(小売業や製造業など)は大きな恩恵を受けやすく、その株価が顕著に反応することが多いです。逆に、小売売上高が予想を下回る場合は、経済成長の鈍化や消費意欲の低下が懸念され、株式市場全体に売り圧力がかかる可能性があります。
- 為替市場への影響
為替市場においても、小売売上高は米ドルの価値に直接影響を与えることがあります。強い小売売上高の結果は、米国経済の堅調さを示すため、利上げの可能性を高め、ドル買いが進む要因となります。
これは、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために金利を引き上げる余地があると市場が判断するためです。一方、弱い小売売上高の結果は、利下げや緩和的な金融政策の継続が予想されるため、ドル売りにつながることが多いです。
小売売上高と過去の値動き(日足と1分足)
前回はエコノミストや市場の予想であった下落を総合で上振れる結果でした。原油価格下落もあり、ガソリンスタンドの売上高は1.2%減少しました。けん引したのは、オンラインストアの1.4%増です。
前回のドル円1分足は、市場予想のマイナス警戒を払拭したこともあり、米市場オープン後まで持続的に上昇しました。
同時刻発表のフィラデルフィア連銀製造業
公表日時 | 結果 | 予想 |
2024年10月15日 (10月) | -11.90 | 3.40 |
2024年09月16日 (9月) | 11.50 | -4.10 |
2024年08月15日 (8月) | -4.70 | -5.90 |
2024年07月15日 (7月) | -6.60 | -5.50 |
米国長期金利は急速に下がりましたが、再び反発していることもあり、製造業に苦しい展開となります。フィラデルフィア連銀製造業も下落材料であると思います。尚、フィラデルフィア連銀製造業は予想3.0→4.2へ上方修正で前回1.7です。
同時刻発表の新規失業保険申請件数
ドル円の日足は今年一番の大幅悪化。ハリケーンの影響がどれほど長く続くかが、雇用統計やその他の経済にも影響してきます。
1分足はCPIの上振れと重なり、大幅な値動きの後、一時ドル円は下落傾向です。
小売売上高の主要構成要素
小売売上高は、いくつかの主要な業種から成り立っています。
ここでは、自動車販売、食品・飲料品店、ガソリンスタンド、一般商品店、非店舗小売業の5つのカテゴリに焦点を当て、影響度順にその具体的な構成比率と市場動向を見ていきます。
前回の小売売上高がエコノミストの予想より強かったわ。オンラインストアが前月比1.4%増で、前月の0.4%増から勢いを増したわね。
ガソリンスタンドは逆に1.2%も減っている!原油安の影響だな。
良いところに注目したわね。9月はAmazonのようなECサイト全般のセール情報は薄くて、原油も更に安くなったわ。
それは大きなヒントになりそうだな。
自動車・自動車部品ディーラー(影響度★★★☆☆)
自動車およびその部品の販売は、小売売上高全体の中で最大の割合を占めます。データでは、自動車関連の売上高は小売全体の約20%を占めます。
このセクターは、金利の上昇や失業率の増加に非常に敏感です。例えば、2022年末から2023年初頭にかけては、FRBの金利引き上げにより自動車ローン金利が上昇し、消費者の購買意欲が減少しました。その結果、2023年の自動車販売は前年同期比で約4%減少しています。
この動向は市場にも影響を与えます。自動車販売が好調であれば、経済の回復基調が強まると予想され、ドルが強含む傾向にあります。逆に、販売不振は経済の先行きに不安をもたらし、ドルの下落要因となります。
調べてみると、有名どころでバンク・オブ・アメリカの新車ローンはギリギリ5%台にまで下がっていました。少し前までは7〜8%台だったことを考えると大きく下落しています。しかし下落は緩やかで、前月からするとあまり変わりなく、実際のところ直近の自動車販売はそれほど目立っていません。
食品・飲料品店(影響度★★☆☆☆)
食品や飲料品の販売は、景気の変動に比較的強い安定的なセクターです。食品および飲料品店の売上は小売売上高全体の約13%を占めています。
特に、インフレによる食品価格の上昇が売上増加の一因となっています。この辺りは、インフレが急速に緩和し始めたことから、その売上高も今後は減少傾向にはあるかもしれません。
このセクターの安定性は、リスク回避の傾向が強まる局面でも消費が持続するため、消費者支出全体を下支えする役割を果たします。
市場においても、食品セクターが安定していれば、その国の経済が深刻なリセッションに陥っていないと判断されることが多く、通貨価値の急激な下落を防ぐ要因となります。
消費者が実際に購入した価格である、PCEは食品が除れるコアでは上振れですが、食品含む総合で下落です。本項目は下振れ材料となります。
ガソリンスタンド(影響度★★☆☆☆)
ガソリンスタンドの売上は、原油価格に大きく依存しています。ガソリンスタンドの売上がは全体の約10%です。8月は原油価格の変動により大きな振れ幅が見られましたが、現在は下落の材料です。
市場においては、原油価格が通貨価値に与える影響が大きく、特に資源輸出国の通貨(カナダドルやロシアルーブルなど)に強い影響を与えます。ガソリンスタンドの売上高は、その国の消費者支出の方向性を見極める上で重要な指標となります。
米国のガソリン価格推移は8月で下落幅がややありました。この辺は原油価格を見ても以前から伝えている通りです。データとしては下落材料です。
一般商品店(影響度★★☆☆☆)
一般商品店には、デパートやディスカウントストアなど、多岐にわたる商品を販売する店舗が含まれます。
このセクターは、消費者の購買意欲を強く反映するため、景気の状況に大きく左右されます。一般商品店の売上は全体の約11%を占めます。
ここはPCEの下落と現在出ている消費者マインドのデータも下落していることから、下落材料です。しかし、この差はほぼ横ばいで決定的ではないことに注意です。
公表日時 | 結果 | 予想 |
2024年10月29日 (10月) | ||
2024年09月24日 (9月) | 98.7 | 103.9 |
2024年08月27日 (8月) | 103.3 | 100.9 |
2024年07月30日 (7月) | 100.3 | 99.7 |
2024年06月25日 (6月) | 100.4 | 100.0 |
2024年05月28日 (5月) | 102.0 |
非店舗小売業(影響度★★☆☆☆)
非店舗小売業、特にオンラインショッピングや通信販売の売上は急速に成長しています。このセクターは拡大中で全体の約14%を占めます。特に、COVID-19パンデミック以降、オンラインショッピングの普及が加速し、アマゾンなどの巨大EC企業が市場を牽引しています。
この成長は、消費者の購買行動の変化を反映しており、非店舗小売業の売上が増加すると、消費のデジタルシフトが進んでいることを示唆します。これにより、通貨に対する信頼感が強まり、為替市場においてもポジティブな影響を与える可能性があります。
データを見ると堅調に推移していることが伺えます。ただ前述した通り、9月のEC企業の売り上げは鈍化し、10月に重なる大きなセールで再度上昇すると見ています。
小売売上高と為替市場、経済への影響
小売売上高のデータは、市場における通貨の動向ひいては経済を予測するための重要な指標です。GDPの7割を占めるので内訳データも私は見ています。
全体として各セクターを包括的に見なければいけない指標です。強いているならば、自動車販売や非店舗小売業の成長が強ければ、経済の活性化が期待され、その国の通貨は強くなる可能性があります。
一方で、ガソリン価格の上昇が消費を圧迫する場合、経済の先行きに不安が生じ、通貨価値にネガティブな影響を与えることもあります。
例えば、アメリカの小売売上高が予想を上回る結果となった場合、ドルが他の通貨に対して強含みとなることがよくあります。
特に、自動車や一般商品店の売上が好調であれば、消費者の購買力が高まっていると見なされ、FX市場ではドル買いの動きが強まります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
小売売上高の各構成データを具体的に分析することで、経済をより正確に把握し、FXや投資における意思決定の材料とすることができます。
2024年10月17日の私の今回の小売売上高の予想としては、予想を下振れると判断しています。
利益が取れれば、Xでのコメントやいいねでぜひ教えてください。
皆さんの利益を願っております。
DAKURA
※ブログやXでの私の予想はあくまで個人的な見解、分析であって、結果を約束するものではありません。投資は自己責任、自己判断です。予想が外れたことやデータの抽出ミス等による責任は一切負いません。リスク管理にご注意ください。