PPI(生産者物価指数)の速報値を予想し、ドル円で利益を狙う

米国のPPI(生産者物価指数)は、企業が製品やサービスを提供する際の価格変動を示す重要な経済指標です。PPIは商品が消費者へ届くまでの過程において「PPI生産価格→CPI販売価格→PCE消費者の購入価格」の流れの始まりであり、全体の先行指数です。
よってPPIの発表は市場に大きな影響を与える可能性があります。この記事では、PPIの影響、予測のために役立つデータ、そしてドル円相場で利益を狙う戦略について解説します。

PPI(生産者物価指数)の影響について

PPIは、企業間の取引価格を示し、製造業やサービス業などで生産者が最終消費者に提供する価格よりも前の段階での価格動向を示します。

この指標が上昇している場合、企業はコスト増を価格に転嫁しようとするため、インフレの前触れと見なされます。

その結果、FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ抑制のために金融政策を変更する可能性が高まるため、PPIの変動は市場全体に影響を与えます。

市場において、PPIが予想より高い場合、インフレ圧力の増加が予想され、ドルが買われやすくなります。

特にドル円相場では、米国の金利上昇期待が高まることでドル高・円安のトレンドが強まることがあります。逆にPPIが低ければ、インフレ圧力の緩和や、利上げの必要性が低下すると見なされ、ドル売り圧力がかかりやすくなります。

PPIと過去のドル円の値動き(日足と1分足)

PPIとドル円日足

【日足】日足はコアが大きく上昇する予想です。昨日発表のCPIも総合とコアの上振れがありました。

CPIの先行指数がPPIではありますが、同じインフレ指標ということで、算出項目のデータが似ています。

PPIはどちらかというと製造業を見ていた方がいいという違いはありますが、上振れがデータ的に的中していたのと非常にリンクし、参考になるのでまだの方は下のリンクを必読です。

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【1分足】前回は新規失業保険申請件数と同時発表で、PPIの影響の方が大きかったでしょう。

しかしながら、前年比で下振れて前月比上振れるというマチマチな結果だっただけに、最大で40銭ほどの円高になりました。マチマチな結果に方向感は定まらず、何度も値を戻して乱高下しています。

PPIとドル円1分足

PPI予測に役立つデータ

PPIを予測するためには、以下の主要な経済指標を参考にすることが有効です。

これらのデータは、PPIに影響を与える要因を理解し、より精度の高い予測を立てるために必要です。

エネルギー価格、商品価格指数(影響度★★★★☆)

  • 関連指標:原油価格変動率、エネルギー価格

エネルギー価格、特に原油価格の変動はPPIに大きな影響を与えます

エネルギーは製造業や輸送コストに直結しているため、エネルギー価格の上昇は企業のコスト増となり、そのままPPIの上昇要因となります。

例えば、原油価格が急騰すれば、物流コストや製造過程でのエネルギーコストが増加し、PPIが押し上げられる可能性があります。

エネルギー価格の動向を予測するには、国際原油価格や商品市場全体のトレンドを追いかけることが重要です。

特にOPECの政策変更や地政学的リスクは、エネルギー価格に大きな影響を与えるため、それらのニュースにも注意が必要です。


原油価格は平均して下落していた9月は、原油価格の次の下図ガソリン価格も同様です。原油価格は裾野が広いので、市場の予想もPPIの下落傾向に寄りやすいと思います。

原油価格(8月と9月のデータ)
米エネルギー情報管理局より

製造業のコストと生産活動(影響度★★★★☆)

  • 関連指標:製造業の購買担当者指数(PMI)、製造業稼働率、ISM仕入れ価格

製造業のコスト構造や生産活動は、PPIに直結する重要な要素です。

製造業PMI(購買担当者指数)は、企業の購買動向を示し、製造業における需要の高まりやコスト増加がPPIにどのように影響するかを把握するために活用されます。

例えば、PMIが高い場合、製造業の稼働率が高まり、原材料の需要が増え、価格が上昇する可能性があります。

また、ISM価格指数は、企業が支払う原材料コストを示すため、これもPPI予測に役立つデータです。製造業が仕入れコストを転嫁することで、生産者価格に反映される可能性が高まります。

PMI製造業の景気は、縮小を示す50割れですが、少し上がっています。

公表日時時間結果予想
20241001 (9)22:4547.347.0
20240923 (9)22:4547.048.6
20240903 (8)22:4547.948.0
20240822 (8)22:4548.049.5
20240801 (7)22:4549.649.5
20240724 (7)22:4549.551.7
PMI製造業景気指数(速報値と確報値)

製造業稼働率

続いて製造業稼働率です。

こちらも一番上の総インデックスはマイナスからプラスに転じています。

これらは商品化価格指数ととてもリンクします。しかし最新の発表が8月までとなっており、9月発表待ちで一見上昇材料ですが、その相関を見てみると、次は下落してしまうかもしれません。

製造業稼働率

ISM製造業価格指数大きな下落が見られます。非製造業の一段上昇はありましたが、PPIの性質上、こちらを重視して取り上げます。

公表日時結果予想
20241001 (9)48.353.5
20240903 (8)54.052.1
20240801 (7)52.951.9
20240701 (6)52.155.8
20240603 (5)57.060.0
ISM製造業価格指数

輸入物価指数(影響度★★★☆☆)

輸入物価指数は、米国が海外から輸入する原材料や製品の価格を示します。

特にエネルギーや鉱物、製造業で使用される部品など、輸入品の価格が上昇すれば、そのコストが米国内での製品価格にも波及し、PPIを押し上げる要因となります。

ドル安になると輸入物価が上昇しやすいため、為替レートの動向と合わせて分析することが重要です。

直近の141.4は8月のデータです。現在のドル為替レートと相関します。9月は為替レート的にも前回の発表のようにこちらは下落しない見込みです。

米国の輸入物価(米労働統計局より)

インフレ指標(CPI内訳)(影響度★★☆☆☆)

  • 関連指標:CPI内訳

CPI(消費者物価指数)は、消費者レベルでの価格変動を示すため、PPIの予測においても参考になります。

特にCPIの内訳から、特定の商品やサービスにおける価格変動を分析することで、PPIへの影響を予測できます。

例えば、消費者向けの商品価格が上昇している場合、その上流にある生産者価格が既に上昇していることが示唆されます。

昨日発表されたCPIの内訳の日本語訳です。エネルギーは思ったより下落しました。

昨日のCPIや本記事の上部でも触れていますが、エネルギーは下落しています。気になったのは下から4段のコアを示すサービス関連の急騰です。根強いサービス業、つまりコアの上昇を感じさせます。

CPI内訳 米国労働統計局より

商品価格指数(影響度★★☆☆☆)

  • 関連指標:商品価格指数(エネルギー以外の品目)

エネルギー以外のコモディティ、例えば鉄鋼、アルミニウム、木材といった商品価格の変動もPPIに影響します。

これらの資源価格が上昇すると、製造業や建設業のコストが上がり、最終的にPPIにも反映されます。特に原材料価格の急激な変動は、生産者のコストに直結しやすいです。

商品価格指数は8/5を底値にし、非常に伸びてしまいました。これでは上昇傾向なのは頷けます。

CRB商品価格指数 investing.com様より

市場に与える影響

PPIの結果が予想を上回る場合、ドル円相場に対して次のような影響が考えられます。

  • インフレ期待の高まり PPIが予想を上回る結果となった場合、企業がコスト増を価格に転嫁し、消費者物価指数(CPI)も上昇する可能性が高まります。これにより、FRBがインフレ抑制のために利上げを行う可能性が高まるため、米ドルは強含み、ドル円が上昇することが予想されます。
  • 市場のリスクオン PPIの高い結果は、米国経済が活発であることを示すため、投資家のリスク選好が高まり、円売りドル買いが進むことがあります。今は少し疑問ですが、特に安全資産とされる円は、リスクオン時に売られやすいため、ドル円が上昇する可能性があります。

逆に、PPIが予想を下回る場合、インフレ懸念が後退し、FRBが金融緩和を維持する可能性が高まるため、ドル安・円高が進む可能性があります。この場合、投資家は安全資産を買い、ドルを売る傾向が強まります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

PPIは、インフレの先行指標として重要な役割を果たしており、その動向を予測するためには、エネルギー価格や製造業の生産活動、輸入物価指数など複数の指標を総合的に分析する必要があります。

これらのデータを基にPPIを予測し、その結果に基づいてドル円相場でのトレード戦略を立てることで、FX市場での利益を狙うことができます。

私の予想としては、今回は前回結果を上回る上昇なるも、予想通りもしくは予想を下回る結果となると思っています。雇用が重視されてインフレ指数があまり動かない傾向にあるので、ドル円としては影響が少ない可能性はありますが、ドル円の1分足を解説したようにレンジ幅になることも十分に考えられます。

リスク管理を徹底しつつ、適切なタイミングでポジションを取ることが重要です。

可能であれば感想でもいいのでXのコメント欄にコメントを残してくれると励みになります。

皆さんの利益を願っております。

DAKURA

※ブログやXでの私の予想はあくまで個人的な見解、分析であって、結果を約束するものではありません。投資は自己責任、自己判断です。予想が外れたことやデータの抽出ミス等による責任は一切負いません。リスク管理にご注意ください。

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