GOLDは歴史的な上昇局面へ

2024年9月17,18日にFOMCで利下げが発表される予定です。

利下げといえば歴史的にGOLDが上昇しやすい局面です。GOLDは前回利下げ2019年と今年で酷似しています。本記事ではファンダメンタル要因を軸に、GOLDの上昇相場について説明します。

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ーなぜGOLD(金)が今上昇するのかー

目次

金価格の変動要因を徹底解説:米国の利下げから商用利用まで

金価格の変動は、さまざまな要因に影響を受けます。本記事では、米国の利下げが金価格に与える影響を中心に、地政学的リスク、中央銀行の金購入、商用利用の需要、供給制約など、金価格を押し上げるその他の要因について具体的なデータを用いて詳しく解説します。

1. 米国の利下げと金価格の関係

冒頭でも示しましたが、2024年9月17,18日にFOMCで利下げが発表される予定です。

米国の利下げが金価格に与える影響は大きいです。利下げによりドルが安くなり、金が相対的に魅力的な投資先となるため、金価格は上昇します。

また、現在はインフレを示す経済指標は鈍化傾向にありますが、利下げはインフレリスクを上昇させます。インフレリスクの高まりや、安全資産としての金の需要増加も金価格を押し上げる要因です。

米国の利下げが金価格に影響を与える主な理由

  1. ドル安
    利下げにより米ドルの金利が低下すると、ドルの価値が下がります。ドル安になると、ドル建てで取引される金が相対的に安価に見えるため、金の需要が増加します。
  2. インフレリスク
    利下げが行われると、資金供給が増加し、インフレ期待が高まります。インフレリスクが高まると、金がインフレヘッジとして注目されるため、金価格が上昇します。
  3. 安全資産としての需要増加
    経済の不安定さが増すと、金は安全資産としての役割を果たします。市場の不安定性が高まると、金への需要が増加し、価格が上昇します。ちょうど大統領選前というのも、政治的局面の不安定さが増す要因です。
  4. 商用利用の需要増加
    金は商用利用でも重要な役割を果たしています。電子機器やジュエリー産業での金の需要が増加することで、金価格が押し上げられます。

米国の利下げが金価格に与える影響はドル安、インフレリスク、安全資産としての需要増加、商用利用の需要など多岐にわたります。特に経済不安定な時期や低金利環境では、金の需要が高まり、価格が上昇することが予想されます。

地政学的リスクと金価格の上昇

地政学的リスクが高まると、金価格は上昇します。地政学的な緊張や紛争が金の需要を押し上げ、安全資産としての役割を強調します。具体的なリスク事例とその影響を見ていきましょう。

地政学的リスクが金価格に影響を与える主な理由

  1. 不安定な地域からの影響
    中東やその他の不安定な地域での緊張が高まると、金の需要が増加します。金は地政学的リスクに対する保険として機能し、安全資産として注目されます。
  2. 市場の不確実性
    地政学的リスクが高まると、金融市場の不確実性が増し、投資家が金を安全な資産として求める傾向があります。これも金価格の上昇につながります。

以下は、地政学的リスクが金価格に与える影響を示す具体例です

  1. イランと米国の緊張
    2019年にはイランと米国の緊張が高まり、金価格は1オンスあたり1,550ドルから1,610ドルに上昇しました。地政学的リスクが金価格に与えた影響を示す具体的なデータです。
  2. 北朝鮮の核実験
    2017年には北朝鮮の核実験が行われ、金価格は1オンスあたり1,300ドルから1,340ドルに上昇しました。北朝鮮の動向が金価格に与えた影響を示しています。

地政学的リスクが高まると、金価格は上昇する傾向があります。地域の不安定性や政治的緊張が金の需要を押し上げ、安全資産としての役割を強調します。金価格の動向を理解するためには、これらのリスク要因を常に把握しておくことが重要です。

中央銀行の金購入と金価格

中央銀行の金購入が増加すると、金価格は上昇します。中央銀行の購入活動は市場での金の需要を増加させ、価格を押し上げる要因となります。具体的なデータとともにその影響を解説します。

中央銀行の金購入が金価格に影響を与える理由

  1. 通貨分散の一環
    中央銀行は、米ドルなどの通貨への依存を減らすために金を購入します。これにより、金の需要が増加し、価格が上昇します。
  2. リスクヘッジとしての金
    中央銀行が金を購入することで、金融市場のリスクに対するヘッジを行います。これが金価格に直接的な影響を与えます。

以下は、中央銀行の金購入が金価格に与える影響を示す具体例です

  1. 中国の金購入
    2021年には、中国が年間約100トンの金を購入しました。これにより、金価格が1オンスあたり1,800ドルから1,900ドルに上昇しました。中央銀行の金購入が金価格に与えた影響を示すデータです。
  2. ロシアの金購入
    ロシアも積極的に金を購入しており、2020年には年間約200トンの金を購入しました。これにより、金価格の上昇が見られました。中央銀行の購入活動が金価格に与える影響を示す具体例です。

中央銀行の金購入は金価格に強い影響を与えます。通貨分散やリスクヘッジとしての金の購入が市場での金の需要を増加させ、価格を押し上げる要因となります。中央銀行の金購入動向を把握することは、金価格の予測において重要です。

商用利用の需要と金価格

金の商用利用が増加すると、金価格は上昇します。電子機器やジュエリー産業での金の需要が価格を押し上げる要因となります。具体的なデータを用いてその影響を説明します。

商用利用の需要が金価格に影響を与える理由

  1. 電子機器産業での需要
    電子機器には高い性能を求められ、金が多く使用されます電子機器産業での金の需要増加が、金価格に直接的な影響を与えます。
  2. ジュエリー産業での需要
    ジュエリー産業は金の最大の消費者の一つです。ジュエリーの需要が増加することで、金価格も押し上げられます。

以下は、商用利用の需要が金価格に与える影響を示す具体例です

  1. 電子機器産業での金需要
    2021年には、電子機器産業での金の消費量が年間約330トンに達しました。これが金価格の支えとなり、価格の上昇を促進しました。
  2. ジュエリー産業での金需要
    ジュエリー産業では、2021年に年間約1,200トンの金が消費されました。これにより、金価格が1オンスあたり1,900ドル以上で推移しました。商用利用の需要が金価格に与えた影響を示しています。

金の商用利用の増加は、金価格に強い影響を与えます。電子機器やジュエリー産業での金の需要が価格を押し上げる要因となっており、商用利用の需要の動向を把握することは金価格の予測において重要です。

技術革新と供給制約

技術革新と供給制約が金価格に影響を与えます。新たな技術の進展が金の需要を増加させ、供給制約が価格を押し上げる要因となります。具体的なデータを用いてその影響を詳しく解説します。

技術革新と供給制約が金価格に影響を与える理由は以下の通りです

  1. 新技術の影響
    金は医療機器や再生可能エネルギー技術など、さまざまな新技術で使用されています。これにより、金の需要が増加し、価格が上昇します。
  2. 供給制約の影響
    金鉱の新規発見が難しく、年間の金鉱採掘量が約3,000トンにとどまっています。供給の制約が価格を押し上げる要因となります。

以下は、技術革新と供給制約が金価格に与える影響を示す具体例です

  1. 医療機器での金の利用
    医療機器の分野での金の需要が増加しています。例えば、2020年には、医療機器での金の消費量が年間約50トンに達しました。これが金価格に影響を与えています。
  2. 供給制約の影響
    金鉱の新規発見が難しい中で、年間の金鉱採掘量が約3,000トンにとどまっています。供給制約が金価格に影響を与える要因となっています。

技術革新と供給制約が金価格に与える影響は大きいです。新技術の進展が金の需要を増加させ、供給制約が価格を押し上げる要因となります。金価格の動向を予測するためには、これらの要因を総合的に考慮することが重要です。

しかし金価格が必ずしも上昇するとは限らない!

上記のことは金価格についての一般論ですが、必ずしもこの限りではありません。コモディティの代表格、金は様々な要因に晒されることで時に真逆の動きをすることにも注意しましょう。投資、トレードを行う上で、リスク管理は徹底したいです。

  1. 米国の利下げが金価格を押し上げない場合
    米国の利下げが金価格の上昇につながらない例があります。

    例えば、2015年の金融危機後の米国利下げ時期では、金価格が予想外に安定もしくは下落する場面もありました。

    これは、利下げによる金融緩和策が予想以上に経済を回復させたため、投資家が株式市場や他のリスク資産に資金を移し、金に対する安全資産としての需要が減少したことが原因です。

    利下げが金価格に上昇圧力をかけると期待されても、実際には投資家の期待が経済成長や他の市場に向けられた結果、金価格に影響を与えないことがあります。
  2. 地政学的リスクが金価格に影響しない場合
    地政学的リスクが必ずしも金価格を上昇させるわけではないこともあります。

    例えば、2019年のイランと米国の緊張が高まった時、投資家の一部は金に逃避するのではなく、米国債など他の安全資産に資金を避難させました

    この時期、金価格は1オンスあたり1,500ドル台で安定して推移しており、リスクが顕在化しても金価格が大幅に上昇しないケースを示しています。
  3. 中央銀行の金購入が金価格に影響を与えない場合
    中央銀行が金を大量に購入しても、必ずしも金価格が上昇するわけではありません

    2013年から2015年にかけてのロシアや中国の金購入は顕著な例です。両国の中央銀行は金を積極的に買い増しましたが、その期間中の金価格は下落しました。

    これは、同時期に他の国々や民間投資家による金売却が進んだため、全体の需給バランスが中央銀行の購入だけでは価格を支えられなかったためです。

    このように、中央銀行の金購入があっても、他の要因によって需給バランスが崩れることで価格が下落することがあります。
  4. 商用利用の需要が金価格を押し上げない場合
    金の商用利用需要が高まっても、価格に反映されない場合もあります。

    例えば、2019年にはジュエリー産業での金需要が増加したにもかかわらず、金価格は一時的に停滞しました。

    これは、同時期に世界経済の減速懸念から金の投資需要が減少し、商用需要の増加が価格に十分な影響を与えなかったためです。
  5. 技術革新が金価格に影響しない場合
    新技術の開発により金の需要が増加しても、それが必ずしも金価格の上昇につながらないケースもあります。

    例えば、2010年代における太陽光発電技術の進展で、金の使用量が増加しましたが、その一方で、リサイクル技術の向上や代替素材の使用が進んだため、全体の金需要が抑制され、価格への影響は限定的でした。

    技術革新は金の需要を増やす一方で、リサイクルや代替技術も進むため、供給過多になった場合には価格に影響しないこともあります。

まとめ

金価格の変動要因について、米国の利下げ、地政学的リスク、中央銀行の金購入、商用利用の需要、技術革新と供給制約の観点から詳細に解説しました。これらの要因が複雑に絡み合い、金価格に影響を与えています。

特に米国の利下げが引き起こすドル安やインフレリスク、地政学的リスクの高まり、中央銀行の金購入、商用利用の需要増加、技術革新と供給制約は、金価格に対する重要な要因です。

しかしながらコモディティの代表格、GOLDは必ずしもこの限りではないということに注意は必要です。

これらの要素を把握し、金価格の動向に総合的な分析を行いましょう。金は、経済の不安定な時期にも安定した投資先としての魅力を持ち続けるため、リスクヘッジとしてもより良い投資判断が可能となります。

自分でこのような分析は難しい。そういった方には、こちらの記事↓へどうぞ。

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