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【24年12月】雇用統計の速報値をデータから予想

雇用統計は投資・トレード判断において極めて重要な指標です。
政策面では、中央銀行が金融政策を決定する際の主要な判断材料となります。良好な雇用統計は経済の過熱を示唆し、金利引き上げの根拠となる一方、悪化は金融緩和策の必要性を示します。また、政府の財政政策にも影響を与え、雇用対策や経済刺激策の立案に直結します。
つまり経済の現状と将来の方向性を示す重要なシグナルです。
本記事では、雇用統計の構成データから予想を算出し、トレードにおける重要な判断材料を記載します。


雇用統計とは。

雇用統計は、米国労働省が毎月第一金曜日に発表する重要な経済指標です。農業部門を除いた産業における雇用者数(非農業部門雇用者数:NFP)の変動を示しており、米国経済の現状やトレンドを把握するための指標として広く注目されています。

この統計には、雇用者数の変化に加えて、失業率や平均時給、労働参加率といった複数の要素が含まれています。

雇用統計は経済成長や景気の拡大・縮小を示す主要な指標として、米国のFRB(連邦準備制度理事会)が最も注目しており、金融市場全般に強い影響を与えます。

アイちゃん

米国連邦準備法では、FRBの目的を「雇用の最大化」「物価の安定」の達成にあると定めているわ

基本的には、非農業部門雇用者数が予想以上に増加すれば、経済が成長していると見なされ、米ドルが上昇する要因となります。逆に減少したり予想を下回った場合、経済の停滞や縮小の懸念から米ドルが下落する可能性が高まります。

また、多くの場合に重要視されるのは非農業部門雇用者数ですが、米国を取り巻く経済状況や投資心理によっては、景気後退に直結しやすい「失業率」や物価上昇率に影響する「平均時給」がより重視されることもあります。3指標が同時に発表されるので、値動きの乱高下に注意が必要です。

現在のところは、マーケットの反応やFRBの要人発言として、「雇用>インフレ」が重視されているような値動きです。

非農業部門雇用者数としての一般的な解釈は

  • 予想の上振れでドル買い、下振れでドル売り
  • 50の上振れでドル買い、下振れでドル売り
  • 前回比較で前回より上昇でドル買い、前回より下落でドル売り

となります。

投資行動において好調な雇用統計は企業収益の向上や消費の拡大を予測させ、市場にポジティブな影響を与えます。一方、雇用の悪化は景気後退のリスクを示唆し、投資家のリスク回避行動を促します。このリスク回避行動をリスクオフと呼び、逆にリスクを取ってより大きなリターンを目指す行動をリスクオンと言います。

各項目のデータを包括的に分析することで、雇用統計の結果から予想されるマーケットの動きを予測し、取引の判断材料とすることが大事です。


アイちゃん

世界中で報道される雇用統計の影響度は計り知れないね。速報後の値動きばかりじゃなくて長期的な視野が必要かも。

前回までの雇用統計と予想に役立つデータ

雇用統計の結果を正確に予測するためには、いくつかの重要な経済指標やデータを分析する必要があります。これらの指標は、雇用統計の構成要素を理解し、次回の発表に対する見通しを立てるための基礎となります。

現在まで雇用統計は2回連続の的中です。どの分析が効果的であったのかも踏まえながら、今回も予想を立てていきます。

11/1的中は画像内の結果12.0万→1.2万です。投稿はコチラから見れます。

11/1雇用統計

この時は大型ハリケーンの影響がありました。雇用統計で重視される算出期間からも、その重要性は伺えます。

前回投稿の新規失業保険申請件数について

今回の失業保険申請件数の雇用統計該当期間の算出週の数値を見ると、

[ppwp passwords=”12ko”]

21.7万人はとても少なく、雇用統計の雇用者数にポジティブな内容です。前回との比較です。

公表日時結果予想
2024年12月05日 224K215K
2024年11月27日 213K215K
2024年11月21日 213K220K
2024年11月14日 217K224K
2024年11月07日 221K223K
2024年10月31日 216K229K
2024年10月24日 227K243K
2024年10月17日 241K241K
2024年10月10日 258K231K
2024年10月03日 225K222K
2024年09月26日 218K224K
2024年09月19日 219K230K
2024年09月12日 230K227K
2024年09月05日 227K231K
2024年08月29日 231K232K
2024年08月22日 232K232K
2024年08月15日 227K236K
2024年08月08日 233K241K
2024年08月01日 249K236K

年間で比較してみましょう。

公表日時失業保険 結果予想非農業部門 結果予想
2024年12月05日 224K215K
2024年11月27日 213K215K
2024年11月21日 213K220K
2024年11月14日 217K224K今回の該当週20万
2024年11月07日 221K223K
2024年10月31日 216K229K
2024年10月24日 227K243K
2024年10月17日 241K241K
2024年10月10日 258K231K1.2万10.6万
2024年10月03日 225K222K
2024年09月26日 218K224K
2024年09月19日 219K230K
2024年09月12日 230K227K25.4万14.7万
2024年09月05日 227K231K
2024年08月29日 231K232K
2024年08月22日 232K232K
2024年08月15日 227K236K14.2万16.4万
2024年08月08日 233K241K
2024年08月01日 249K236K
2024年07月25日 235K237K
2024年07月18日 243K229K
2024年07月11日 222K236K11.4万17.6万
2024年07月03日 238K234K
2024年06月27日 233K236K
2024年06月20日 238K235K
2024年06月13日 242K225K20.6万19.1万
2024年06月06日 229K220K
2024年05月30日 219K218K
2024年05月23日 215K220K
2024年05月16日 222K219K27.2万18.2万
2024年05月09日 231K212K
2024年05月02日 208K212K
2024年04月25日 207K214K
2024年04月18日 212K215K
2024年04月11日 211K216K17.5万23.8万
2024年04月04日 221K213K
2024年03月28日 210K212K
2024年03月21日 210K212K
2024年03月14日 209K218K30.3万21.2万
2024年03月07日 217K217K
2024年02月29日 215K209K
2024年02月22日 201K217K
2024年02月15日 212K219K27.5万19.8万
2024年02月08日 218K221K
2024年02月01日 224K213K
2024年01月25日 214K200K
2024年01月18日 187K207K
2024年01月11日 202K210K35.3万18.7万
2024年01月04日 202K216K

非農業部門雇用者数としては、6回上振れて4回下振れています。

失業保険申請件数が22万を下回る良い結果で雇用統計の結果もよかった回数が3回でそうでない回は1回というポジティブな結果です。

失業保険申請件数の月ごと平均値と雇用統計の関係

上記は失業保険申請件数の月ごとの平均値と雇用統計の関係です。

アイちゃん

月ごとの失業保険申請件数の平均が23万人を下回ると、雇用統計で20万人を超えてきた6回中5回ね!今回、予想を超える良い結果が見込めるかも!

前々回の雇用統計も的中しています。ポストはコチラからです。

10月4日の雇用統計的中

前々回はJOLTS求人の離職率が低く出ていました。

前々回

今回はどうでしょう。

今回のJOLTSは悪化

今回、離職率については上がってしまっています。10月分ということで、ハリケーンの影響もありますし、今回11月分の雇用統計と考えると影響は少ないと思えますが、数値としては若干ネガティブ要因だと思います。

構成データからの内訳

過去の雇用統計データは、次回の結果を予測する上で欠かせない情報源です。過去の傾向やトレンドを掴むことで、今後の雇用情勢を推測することができます。特に注目すべき指標として、以下のものがあります。

雇用統計の速報値

非農業部門雇用者数(NFP)

米国経済活動を広く反映する主要な指標です。農業部門を除いた全ての産業における雇用者数の増減を示しています。

重要性: 経済の成長と雇用創出力を直接的に示す指標
関連性: 他の2つの指標に影響を与える基礎的な数値

前回は1.2万人の増加で最悪となりました。しかしながら、ハリケーンの影響と、その後すぐにポジティブに市場は反応しています。今回の予想値の20万人は5月発表以来の強い予想です。前回は今年最悪の予想値ではありました。

失業率

失業率は、労働力人口に対する失業者の割合を示す指標であり、U-3失業率が一般的に使用されます。この数値は、求職している人の中で実際に失業している人の割合を示しています。失業率が低下すると、労働市場が改善しているとされ、経済の回復や成長を予測する要素となります。

重要性: 労働市場の全体的な健全性と需給バランスを反映
関連性: NFPの変動に応じて変化し、平均時給に影響を与える

8月に発表された4.3%が米国経済のこれからの景気後退を示唆するのではないかと懸念されましたが、4.2%とほぼ横ばいの予想値です。こちらに関しては上振れてくると再び景気後退を囁かれるようなネガティブに陥りやすい内容かもしれません。

平均時給

平均時給は、労働者が受け取る賃金の平均額を示します。賃金の上昇は、消費者の購買力を増大させ、消費拡大につながります。これにより経済全体が成長し、インフレの加速が予測されることもあります。賃金の増加は、中央銀行が金融政策を見直す際の判断材料としても重要視されます。

重要性: インフレ圧力と消費者の購買力を示す指標
関連性: 労働市場の逼迫度(失業率)に影響を受け、将来的なNFPに影響を与える可能性がある

平均時給は下落する予想値です。前回前々回と考慮すると平均時給はマーケットの反応は限定的だと思います。

雇用統計の予想に役立つデータ

ADP雇用統計

ADP雇用統計は、雇用者数の変動を示す民間企業のデータを基にした指標です。これは雇用統計の発表前に公表されるため、NFPの速報値を予測する上で有用です。

ADP雇用統計の内訳ですが、小規模ビジネスで雇用の悪化でした。セクター別には製造業のみが減少の結果です。雇用統計の非農業部門雇用者数は政府部門など統計としても広いです。

大企業の雇用増は影響度が大きいです。また、項目別にも製造業以外の広い分野で拡大が見られます。これに関しては前回も同じです。労働人口比で高い非製造業が示すサービスが強いのは、ポジティブです。今回の数値だけを知っている人は歴史的にはそれほど高くないということです。

失業保険申請件数

毎週発表される失業保険申請件数は、雇用情勢をリアルタイムで把握するための指標です。このデータは短期的な変動を捉えることができ、雇用統計の結果を予測する際の参考になります。

新規失業保険申請件数のデータは前項で説明している通りです。

雇用統計の算出期間内の失業保険申請件数は、調査対象となるその月の12日を含む週の土曜日までです。注意しなければならないのは、算出期間に拘りすぎず該当月の全体も包括的に比較、判断しなければならないです。これは算出期間が劇的に良かった当該月の雇用統計が悪かったなどの経験則によります。

失業保険継続申請件数

継続的に失業保険を申請している人数を示すデータで、長期的な失業者の動向を把握するために使用されます。このデータが減少傾向にある場合、労働市場の改善が期待されます。この数値が高い場合、労働市場における雇用の伸びが停滞している可能性を示唆します。

公表日時結果予想
2024年12月05日 1,871K1,910K
2024年11月27日 1,907K1,910K
2024年11月21日 1,908K1,870K
2024年11月14日 1,873K1,880K
2024年11月07日 1,892K1,880K
2024年10月31日 1,862K1,890K
2024年10月24日 1,897K1,880K
2024年10月17日 1,867K1,870K
2024年10月10日 1,861K1,830K
2024年10月03日 1,826K 

失業保険継続申請件数は10月に比べて悪化しています。失業率にも悪影響ですので、今回失業率の上昇懸念には注意しなければならないです。

ISM製造業・非製造業の雇用者数

ISM(Institute for Supply Management)製造業指数および非製造業指数は、製造業およびサービス業の雇用状況を反映する指標です。これらのデータは、産業別の雇用動向を分析する際に有効です。

公表日時結果予想
2024年12月03日 (11月)48.1 
2024年11月01日 (10月)44.445.0
2024年10月01日 (9月)43.947.0
ISM製造業雇用指数
公表日時結果予想
2024年12月05日 (11月)51.553.0
2024年11月06日 (10月)53.048.0
2024年10月03日 (9月)48.150.0
ISM非製造業雇用指数

ISM製造業・非製造業の雇用者数は、非製造業で前回より少し悪くも50以上をキープしています。製造業は増加しています。

労働参加率

労働参加率は、労働力人口を生産年齢人口で割った値です。労働市場に積極的に参加している人の割合を示すこの数値が高ければ、経済活動が活発であることを示唆します。逆に、労働参加率が低下した場合、労働力不足が懸念され、将来の経済成長に悪影響を与える可能性があります。

労働参加率

労働参加率は夏ごろからほぼ横ばいで、明確な変化はありません。

消費者信頼感指数

消費者信頼感指数は、消費者の経済に対する信頼度を測る指標です。消費者信頼感が高まると、経済活動が活発化し、雇用増加の材料です。

今回は11月で良い結果が出ています。

公表日時結果予想
2024年12月24日 (12月)  
2024年11月27日 (11月)111.7111.8
2024年10月29日 (10月)108.799.5
2024年09月24日 (9月)98.7103.9
2024年08月27日 (8月)103.3100.9

消費者マインドは回復していますが、経済的な理由のパートタイムは増えています。ダブルワークは雇用統計において、一人が2つの仕事を行うと単純に2としてカウントされるのでそういった意味では雇用の数値上の増加はあり得ます。
トランプ氏は移民を受け入れずに帰す発言を繰り返しているので、今後、実際にそのような措置をとった場合の雇用統計は急落してくる可能性はあります。

人員削減予定数

米国の雇用に関して、今後の人員削減について調査を行っている米企業のデータです。

人員削減予定数

米国を拠点とする雇用主は、11月に57,727人の人員削減を発表しました。10月は55,597 人の削で3.8% 増加しました。8月9月にもっと高かったことを考えると、こちらはポジティブな内容です。

雇用統計が市場に与える影響

ここで雇用統計の発表が、市場やその他の金融市場に即時的かつ強力な影響を及ぼすことで投資家、トレーダーたちはどう立ち回るべきかを考えましょう。

雇用統計はFOMCでの政策金利の決定に大きく左右します。金利は債券へと広く影響しますので、短期も長期もトレーダーは特に注目しなければなりません。

政策金利への影響

雇用統計の結果は、米国連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に直接的な影響を与えます。雇用が順調に拡大し、インフレが進行していると判断されれば、FRBは政策金利を引き上げる可能性が高まります。一方で、雇用市場が停滞し、経済の減速が懸念される場合は、利下げや量的緩和策が実施される可能性もあります。

債券市場への影響

雇用統計は、米国債券市場にも大きな影響を及ぼします。特に、長期金利は雇用統計の結果によって大きく動きます。例えば、雇用が予想以上に増加した場合、インフレ懸念が高まり、金利が上昇する傾向があります。逆に、予想を下回る結果であれば、金利は低下することが多いです。

債券市場と長期金利、ドル円には密接な関係があり、それらを紐解くことで成績が向上する可能性は高まります。以下の記事を参考にしてください。

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雇用統計の予測と取引戦略

米国政府による調整

雇用統計のデータは、米国政府によって様々な要因を考慮した上で調整されます。これは、季節変動や経済構造の変化を反映するために行われるもので、時には発表後に修正されることもあります。過去のデータがどれだけ修正されたかを把握することは、速報値の信頼性を判断するために重要です。

以下は雇用者数が2009年以来の大幅下方修正が続いていることのデータです。(BLS米労働統計局データからのブルームバーグより参照)

前回の発表は1.2万人ととても悪いものでした。しかしながらハリケーンの影響として市場はあまりネガティブに捉えていません。今回も前回分の下方修正は大いにあり得るとは思います。しかしそれに関しても、いい意味でハリケーンのせいにされる可能性はあります。

雇用統計と過去の値動き(日足と1分足)

雇用統計

これより続きの雇用統計の日足と1分足の解説、およびドル円の値動きについての詳細はDAKURAプレミアム限定記事となります

まとめ

いかがだったでしょうか。

雇用はこれだけの構成データではなく、マクロ経済からさまざまな不確定要素が多いです。

私としては今回の雇用統計は、前々回のように結果として市場にポジティブな印象を残すと考えています。しかし失業率の悪化懸念は新規失業保険継続申請件数の増加からありえますので、データ的には、雇用の強さと失業率の悪化というマチマチな結果になるかもしれません。

雇用統計は、FXトレードにおいて最も重要な経済指標の一つであり、その結果は為替市場だけでなく、株式市場、債券市場、コモディティ市場にも広範な影響を与えます。

雇用統計を効果的に活用するためには、事前の準備と市場の反応を冷静に観察することが求められます。

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皆さんの利益を願っております。

DAKURA

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