米国のCPI(消費者物価指数)は、米国経済におけるインフレ動向を測る重要な経済指標であり、相場やFRBの動向に大きな影響を与えます。本記事で構成データを元にした速報値を予想し、取引チャンスを最大化しましょう。現在まで2連続でCPIの上振れ下振れを的中させています。
CPI(消費者物価指数)の影響について
CPI(消費者物価指数)は、経済全体の物価変動を測るための主要な指標であり、消費者が購入する財やサービスの価格動向を表します。
本指数と為替の強弱の影響としては
- 予想の上振れでドル買い(ドル円なら円安のロング⤴︎)
- 予想の下振れでドル売り(ドル円なら円高のショート⤵︎)
- 前回比較で前回より上昇でドル買い、前回より下落でドル売り
- 予想通りだと値動きは発表ごとに異なる
ということが基本的な傾向です。
そしてこの指数は、インフレ率を理解するために不可欠であり、特に米国経済では連邦準備制度(FRB)の政策判断に大きな影響を与えます。
インフレ率が上昇すれば、FRBは金利を引き上げることでそれを抑制する傾向にあります。これはドル高を促し、ドル円では円安の材料として影響を与えます。
一方で、予想を下回るCPIは、FRBのハト派(引き締めを緩めて消費を促す)的な金融政策を強め、金利を引き下げる可能性を示唆し、ドル安円高を引き起こしやすくなります。
また、発表直後の急騰とその後も数時間にわたって相場が荒れることがよくあります。市場の期待と実際の数値との乖離が大きいほど、急変動の度合いが増す傾向にあります。値動きは慎重に判断すべきであります。
株価にはどう影響するんだ?
インフレが株高を促すか、金利高を嫌気して株安となるかは発表時の市場心理によるわ。
直近のCPIとドル円の傾向
CPIについては、直近2回を連続で的中させられています。
こちらは2024年9月のCPIのXでの投稿です。
投稿はこちらから遡って見れます。
内容を遡っていただけるとわかりますが、データからの「“長期的なインフレが心配されます”」との内容の通り、現在インフレの再燃傾向にあると思われます。
この時は、8月発表分のCPIの上昇の内訳の90%が住居費であったことに着眼し、的中することができました。経済指標は発表後も内訳データが非常に役に立つということが分かります。
以下は10月のCPIの的中です。エコノミストの多くが下落傾向にあったCPIの更なる下振れを予想していましたが、データから上振れを的中させられました。
投稿はこちらから遡って見れます。
前回は先行指数のPPIが上昇傾向であったことや、
ISM非製造業の傾向が重要でした。
構成データからCPIの速報値を予想
それでは、過去の傾向と前回CPIの内訳データから、今回のCPIの速報を予想します。
まずは構成データからです。
〜これ以降はDAKURAプラスのサブスク会員様用の有料記事となります〜
会員登録は「記事閲覧パスワードの受け取り方」よりお進みください。
[ppwp passwords=”3renzoku”]
CPIの予測にあたり、いくつかの主要な経済指標や公式のデータを検討することが重要です。
これらのデータはCPIに直接影響を与えるため、事前にこれらの動向を把握しておくことで、CPI発表時の値動きを予測する助けになります。
住居費
住居費はCPIの大きな構成要素です。住宅価格や家賃の変動がCPIに与える影響は非常に大きいため、このデータをしっかりと確認することが重要です。CPIの上昇を予測する際の重要な指標となります。
住宅価格は高止まりしているため、住居費がCPIに対して強い影響を現在も見せいてます。
公表日時 | 結果 | 予想 |
---|---|---|
2024年11月26日 (9月) | ||
2024年10月29日 (8月) | 0.3% | 0.1% |
2024年09月24日 (7月) | 0.1% | 0.2% |
2024年08月27日 (6月) | -0.1% | 0.1% |
2024年07月30日 (5月) | 0.0% | 0.2% |
8月までのデータだけど、上昇傾向ね。
公表日時 | 結果 | 予想 |
---|---|---|
2024年11月26日 (9月) | ||
2024年10月29日 (8月) | 5.2% | 4.9% |
2024年09月24日 (7月) | 5.9% | 5.9% |
2024年08月27日 (6月) | 6.5% | 6.2% |
2024年07月30日 (5月) | 6.8% | 6.5% |
夏に再浮上していたケースシラーはピークアウトか。
公表日時 | 結果 |
---|---|
2024年11月13日 | |
2024年11月06日 | 6.81% |
2024年10月30日 | 6.73% |
2024年10月23日 | 6.52% |
2024年10月16日 | 6.52% |
2024年10月09日 | 6.36% |
2024年10月02日 | 6.14% |
2024年09月25日 | 6.13% |
2024年09月18日 | 6.15% |
2024年09月11日 | 6.29% |
2024年09月04日 | 6.43% |
9月までに下落していた住宅ローンが10月でまた急騰しているわ。
前回は食品価格の上昇がCPIの上振れに寄与した部分が大きく(前月比で0.4%上昇)、前々回の分析と発表のようにほとんどの上昇が住宅だったというわけではありませんが、ローンの高騰はCPIに大きな上昇材料です。
物価関連指数
物価関連の各種指数も、CPIの予測に役立ちます。これらの指数は、CPIに先行する動きを示すことが多く、特に以下の指標が注目されます。
- 生産者物価指数(PPI)
PPIは生産段階での物価変動を示し、消費者段階に転嫁される前のインフレ圧力を把握できます。エネルギーや食品価格の動きに敏感に反応するため、CPIと強い相関が見られます。
必ずしも直近重視ではありませんが、上昇警戒があります。この辺は住居費と重なります。前年比だと総合も14日の予想値は上がっています。前回はCPIもPPIも上振れており、インフレ再燃の可能性が強く伺えます。
- 個人消費支出(PCE)デフレーター
PCEデフレーターはFRBが最も重視するインフレ指標であり、消費者が実際に支払う価格の動向を反映します。
この指標が上昇すると、CPIの上昇が見込まれるため、CPI予測の先行指標として有効です。コアは高止まりで、総合は順調に下落しています。PPI→CPI→PCEと影響が出やすいので、私としては後々上がってくるかなという考察です。
- ISM製造業・非製造業指数の価格指数
この指数は、企業が感じるコストの増減を反映しており、生産者段階での価格圧力を示す重要な指標です。ISM指数が上昇傾向にある場合、PPIやCPIも上昇する可能性が高まります。
前回は製造業価格の下落と非製造業の一段上昇でした。CPIの総合とコアの上昇に貢献しています。今回、製造業が大きく伸び、非製造業が9月より下がっています。上昇材料かと言われれば微妙なところです。比重的に見ても私はフラットな目線です。
公表日時 | 結果 | 予想 |
---|---|---|
2024年12月03日 (11月) | ||
2024年11月01日 (10月) | 54.8 | 49.9 |
2024年10月01日 (9月) | 48.3 | 53.5 |
2024年09月03日 (8月) | 54.0 | 52.1 |
2024年08月01日 (7月) | 52.9 | 51.9 |
公表日時 | 結果 | 予想 |
---|---|---|
2024年11月06日 (10月) | 58.1 | 58.0 |
2024年10月03日 (9月) | 59.4 | 56.3 |
2024年09月05日 (8月) | 57.3 | 56.0 |
2024年08月05日 (7月) | 57.0 | 56.0 |
輸送費と原油価格
輸送費もCPIに影響を与える要素の一つです。特に原油価格の変動は輸送費に直結し、エネルギー関連のCPIの構成要素に強い影響を与えます。原油価格の下落が一時的にCPI全体を押し下げる要因とることも多々あります。
前回、「原油価格は平均して下落していた9月は、ガソリン価格も同様に下がっている」と指摘していましたが、前回CPIの内訳としてやはり4.1%もガソリン価格が下落していました。
原油価格は今回、ほぼ横ばいを続けていて下落するほどの材料ではないです。前回は押し下げに貢献した原油ですので、今回はそういった意味でむしろマイナス面の弱さはプラスのインフレ加速につながります。
(画像は過去にGOLD上昇するとの記事で使った絵面をそのまま)
食品価格
食品価格もCPIの重要な構成要素であり、特に低所得層に大きな影響を与えます。
食品価格指数の変動は、CPI全体において一定の役割を果たしますが、エネルギーや住居費と比較すると影響は小さいものの、短期的には重要な要因となり得ます。前回は0.4%上昇で全体のプラスに作用しています。インフレ悪化傾向です。
2024 | 2024 Jun | 329.710 |
2024 | 2024 Jul | 330.561 |
2024 | 2024 Aug | 330.750 |
2024 | 2024 Sep | 332.083 |
労働コスト
労働市場の動向もCPIに影響を与える要因の一つです。
平均時給が上昇することで、消費者の購買力が高まり、それが価格上昇圧力につながる可能性があります。平均時給は前月比で上昇傾向が戻っており、物価の上振れ警戒を前回も指摘していましたが、続いています。
公表日時 | 結果 | 予想 |
---|---|---|
2024年11月01日 (10月) | 0.4% | 0.3% |
2024年10月04日 (9月) | 0.4% | 0.3% |
2024年09月06日 (8月) | 0.4% | 0.3% |
2024年08月02日 (7月) | 0.2% | 0.3% |
2024年07月05日 (6月) | 0.3% | 0.3% |
M2(マネーサプライ)
M2(マネーサプライ)は、経済に流通している通貨の総量を示す指標で、消費や投資の活動と密接に関連しています。通貨供給量が増加すると、一般的に消費や投資が活発になり、物価が上昇する傾向にあります。
特に、金融緩和政策が継続されている場合、M2が増加し、インフレ圧力が高まる可能性があるため、CPIにも影響を及ぼします。
「大統領選挙を目前に、通貨の流通量を増やしているのが分かります。政治的な要因もデータには重要」と前回も記述しましたが、引き続きマネーの供給量が強いです。仮想通貨にも非常に強く影響するので、この辺は仮想通貨の記事にもしていきたいと思います。(仮想通貨取り扱ってほしいとの声が寄せられているため)
為替レート
為替レートもCPIに影響を与える重要な要因の一つです。特に輸入品の価格に直結するため、ドル円レートの変動は米国の消費者物価に影響を及ぼします。
ドルが強くなれば、輸入品の価格は下がり、CPIに抑制的な効果をもたらす可能性があります。
一方で、ドル安になると輸入品の価格が上昇し、CPIを押し上げる可能性があります。
為替レートの変動は、エネルギーや食品のような輸入品に強く影響を与えるため、ドル円相場を分析することも、CPIの予測には欠かせません。傾向としては、ドル安はトランプトレードもあり直近でも上げていますが、10月も十分に上げています。輸入価格は下がりやすい材料です。
輸入物価指数
輸入物価指数は、国外からの輸入品の価格変動を示す指標であり、CPIに影響を与えるもう一つの要素です。
輸入物価が上昇すると、国内の消費者が支払う価格にも影響が及び、CPIを押し上げる可能性があります。特にエネルギーや原材料が輸入されている場合、その価格変動がCPIに強い影響を与えます。
為替レートの下落した9月で輸入は上げやすい傾向でしたが、Fuel(ガソリン)価格の輸入価格減が強く、全体として輸入価格は下げています。これも今回は上昇材料です。
お疲れ様!ここまでが構成データの分析よ!
上昇材料が多かったな!
CPIと過去の値動き(日足と1分足)
直近では雇用統計の円高とその後の円安を的中させています。
〜CPIの日足と前回1分足の分析と解説はDAKURAプレミアム限定記事です〜
経済指標の取り方の手法も前回ご好評いただけました。もちろん全てが的中するわけではありませんし、上手くいき過ぎているので自分でも初心を忘れずに警戒しています。プレミアムアップグレードで過去記事も含めてブログ内の全てを閲覧できます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
CPI(消費者物価指数)は、ドル円取引において非常に重要な指標であり、その発表前後には大きな市場変動が予想されます。CPIの予測に役立つ各種データを分析することで、トレーダーは利益を狙う機会を見出すことが可能です。
記事内では様々な構成データからその上昇材料と下落材料について触れていますが、私の予想は、速報値が予想を上振れる可能性が高いと考えています。総合で0.2も予想が上昇しているので、総合は同値かもしれませんが、コアも含めると上昇予想とさせていただきたいです。
CPI発表時の急激なボラティリティに備えた適切なリスク管理を実践することが求められます。データをうまく活用して、ドル円相場での利益を最大化できる可能性が広げましょう。
[/ppwp]
皆さんの利益を願っております。
DAKURA
※ブログやXでの私の予想はあくまで個人的な見解、分析であり結果を約束するものではありません。投資は自己責任、自己判断です。予想が外れたことやデータの抽出ミス等による責任は一切負いません。リスク管理にご注意ください。