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各国の政策金利の変更が起きた時、債券市場と金利差でFXを攻略する

本日、日本時間の午前3時、米国のFOMC(米国の金融政策を決定する会合)にて約4年半ぶりに政策金利を0.5%利下げするという決定が発表されました

50bpの利下げは、通常の経済状況ではあまり見られない大幅な措置です。過去には、リーマンショックやパンデミックなどの重大な経済危機時に行われることが多く、歴史的な出来事といえます。

政策金利の変更と為替市場には密接な関係があります。

歴史的なこの出来事を味方につけるために、順を追って理解していきましょう。

ダクちゃん

債券市場!?俺は為替でトレードしてるんだ!関係ないだろ!?

アイちゃん

そんなことないわ!債券市場は為替を教えてくれる大事なヒントがたくさん隠されてるのよ!

目次

FXトレーダーはなぜ債券市場を見なければならないのか

債券市場と外国為替(FX)市場は、長期的に非常に密接に関連しており、特に金利の動向が両市場に大きな影響を与えることはよく知られています。上記の画像はそれを表しています。

金利が通貨の価値に与える影響を理解するためには、まずその相関性をデータで確認することが重要です。

ここでは、米国10年国債利回りと米ドル/円(USD/JPY)の相関係数を例に、両市場の関係を説明します。

過去10年間のデータをもとにした分析では、米国10年国債利回りと米ドル/円の為替レートの相関係数は 約0.75 と非常に高いことがわかります。

に近づけば近づくほど、両市場は同じ動きを見せます

この相関係数は、債券利回りが上昇する際には米ドルが強化され、利回りが低下すると米ドルが弱くなることを示しており、これは投資家が金利に基づいて通貨の取引を行うためです。

例えば、2022年に米国10年国債利回りが急上昇した際、米ドルは円に対して約30%強くなり、USD/JPYは115円から150円になりました。この期間の相関係数も 0.85 と非常に高くなり、金利と為替の強力な相互作用が確認されました。

2024年に160円に達したときに0.70まで下がったのは「円の信認」のワードが当時の鈴木財務官からも出ていたほどに金利差と乖離していたことは記憶に新しいです。

そして現在、2024年5月15日から9月17日までの90日間におけるドル円と米10年債金利の相関係数は0.83です

さらに直近30日間では0.90と歴史的にも非常に正の相関が強い市場であります

為替と他の市場との相関係数を知る

 ここで良い議題が出ました。債券市場の重要性を知る上でも、マーケットにあまり振りわされないためにも、為替とそのほかの市場と相関係数を知りましょう。

ダクちゃん

SNS見てると株価が〜原油が〜で、何を参考にしたら良いかわからないんだよな

アイちゃん

あまり振り回されてトレードに悪影響が出るといけないね!一緒に確認しよう!

1. 株式市場

  • 期待される相関
    投資家は、株式市場が好調な時にリスクを取りやすく、株価上昇時にはリスクオンムードで高金利通貨が買われる傾向があるため、株式市場とFX市場の間にある程度の相関が期待されます。

    特にリスクオン局面では株価と高金利通貨(米ドル、豪ドルなど)の相関が強くなると考えられます。
  • 実際の相関係数
    しかし、米国株式市場(S&P 500)と米ドル指数(DXY)の相関係数を長期的に分析すると、 約0.2~0.4 程度と比較的低いことがわかります。

    これは、為替市場が多様な要因(地政学リスク、金利政策、資本フローなど)に影響されるため、株式市場だけでは為替相場を十分に説明できないことを示しています。

結論
株式市場は一見、為替と密接に連動していそうですが、誤解を恐れずに言うと、実際には相関が限定的です。主にリスクオン、オフからの円安への影響を知り、日経平均先物のロングや他の材料にも使えます。
※相関係数はデータを計算する期間やマーケットの状況により大きく異なります。見なくて良いわけではなく、国際情勢や金融市場、さまざまな要因でヒントになります。

2. 原油価格

  • 期待される相関
    原油は多くの国にとって重要な輸入品または輸出品であり、原油価格が通貨に影響を与えると考えられます。
    特に、資源依存度の高い国(カナダ、ロシア、ノルウェーなど)の通貨は、原油価格と強い相関を持つと予想されます。
  • 実際の相関係数
    例えば、カナダドル(CAD)と原油価格(WTI)との相関をみると、 約0.6~0.7 と比較的高い相関がありますが、米ドルやユーロなどの主要通貨との相関は 0.1~0.3 程度で低いです。

    つまり、原油価格の影響は資源国の通貨に限定され、他の通貨にはあまり影響を及ぼさないことがわかります。

結論
原油価格は一部の通貨に大きく影響を与えますが、全体的なFX市場との相関は、こちらも誤解を恐れずに言うと限定的です。
原油は先々の景気の先行指数として、また、原材料価格や多くの経済指標の予測を立てる大事な情報源となります。

3. 地政学リスク(例:戦争、テロ、政情不安)

  • 期待される相関
    地政学リスクは通常、為替市場に強い影響を与えると予想されます。
    戦争やテロが発生した場合、投資家はリスクオフに転じ、安全資産としての通貨(円、スイスフラン)に資金を避難させるため、これらの通貨が強くなると考えられます。
  • 実際の相関係数
    ただし、地政学リスクはその発生頻度が低く、影響が一時的であるため、為替市場全体との長期的な相関は不規則であり、数値化が難しいです。

    たとえば、2022年のウクライナ危機では、一時的にリスクオフの動きで円やスイスフランが買われましたが、その後の動きは金利差や政策要因が主導しました。2023年のハマスによるイスラエルへの越境攻撃とイスラエル軍によるガザへの侵攻、現在も緊迫している中東情勢においても、リスクオフがドル主導でした。

    短期、中期、長期の影響はさまざまですが、相関係数は計測困難です。

結論
地政学リスクは短期的には影響を与えますが、長期的な相関は低く不規則なことがわかります。これはポジションの含み損を耐えるべきか、含み益を利確すべきか、突発的な事象が起きたときに頭の片隅に置くべき内容です。

4. インフレ率

  • 期待される相関
    インフレは通常、金利政策に影響を与えるため、インフレ率が上昇すれば通貨が強くなると期待されます。中央銀行はインフレ抑制のために金利を引き上げることが多いからです。
  • 実際の相関係数
    米国のインフレ率と米ドル指数(DXY,主要国通貨間でのドルの強さ)の相関を分析すると、 0.4~0.5 程度で、中程度の相関が確認されています。

    これは、インフレが確かに金利に影響を与え、結果として為替にも作用するものの、インフレ以外の要因(中央銀行の政策スタンス、経済成長率など)が複雑に絡んでいるため、相関が直接的ではないことを示しています。
  • 結論
    インフレ率は為替市場に影響を与える要因の一つではありますが、相関が完全に高いわけではなく、他の要因との複合的な影響があります。間接的に考慮すべき材料ではあります。

    一般的に株式は、「インフレに強い資産」です。 企業の収益が増えると、その企業の株価は上がりやすいことにもありますが、長くなるので別投稿していきます。

このように、債券市場がFX市場に与える影響は無視できないものであり、トレーダーが金利の動向を追うことは為替レートを予測する上で重要な指標となります。繰り返しますが、相関係数は状況や対象期間により異なります。
今、どんな市場と相関が強いのかは当ブログや最新情報はDAKURAのX(Twitter)を追ってくれるとと思います。

それでは本記事に戻り、債券市場とFXの関係について、具体的な事例やデータを交えながら深掘りしていきます。

ダクちゃん

状況によって合わせてみるものが変わってくるから、トレーダーは何枚も画面を見てるのか

アイちゃん

勝率を上げるには必須よ

債券利回りがFXに与える影響の具体例

債券利回りの動きは、各国通貨の価値に直接影響を与えることが多いです。たとえば、米国の10年国債利回りが上昇すると、その結果として米ドル(USD)が強くなるケースがよく見られます。具体的なデータを

見てみましょう。

具体例1: 2022年から2024年(9月時点)までの米国10年国債利回りと米ドルの動き
2022年の米国10年国債利回りは、1月初めには約1.5%(当時ドル円115円程度)でしたが、FRB(連邦準備制度)のインフレ抑制政策に伴う金利引き上げにより、年末には4%を超える水準まで急上昇しました。
この期間に、米ドル指数(DXY)は約95ポイントから114ポイントまで大幅に上昇し、ドルはユーロ、円、ポンドの全ての通貨に対して強くなりました。そしてドル円は一時150円を超えました。

2024年に1ドル160円を超えた際は、日本円が主要国通貨でアルゼンチンペソ、トルコリラと並ぶ弱さが影響していたこともあり、ドルの強さ自体では2022年の方が強かったことになります。

アイちゃん

2022年の”ドル一強“そして2024年”ジャパニーズ・リラ“なんて言われたのが懐かしいわね

ただし、必ずしもこの限りではないのが、2023年10月でした。当時は米国の”社債”が国債利回りより大きく良いパフォーマンスを見せたことで、国債(債券)から社債に資金移動が起き、逆相関にある国債利回りが5%を超えました。この時のドル指数は106程度です。
債券価格と利回りの関係および社債に関してはまた詳しく別に記事にしたいと思います。

債券価格の変動が通貨の強さにどう影響するか

債券価格と利回りは逆相関の関係にあり、価格が上昇すると利回りは下がり、価格が下がると利回りは上がります。

利回りの上昇は、通常その国の通貨に対する需要を引き上げ、結果として通貨価値が上昇する傾向があります。逆に、債券価格が上昇して利回りが低下すると、通貨の需要は減少し、価値が下がる傾向にあります。

具体例2: 日本の超低金利政策と円安(2020~2024年)
日本は2020年以降も超低金利政策を継続し、日本10年国債利回りはほぼ0%に張り付いた状態が続きました。
これに対して、2022年には米国の金利が急上昇し、日米金利差が拡大。2022年初めにUSD/JPYは約115円でしたが、2022年10月には一時150円近く、そしてに2024年には160円を超えました。

そして2024年3月19日、日銀金融政策決定会合において、マイナス金利政策の解除を発表しました。 約8年ぶりの実質的なゼロ金利政策へと移行した歴史的な瞬間です。

当時においては金利差が為替に強く意識されていました。金利の正常化への第一歩は「マイナスとゼロの違いは大きいのでこの一歩から円高」と「実質的な金利差はほとんど変わらないから円安」と投機的なポジションが高まっていました。

日銀の植田総裁による金融緩和の継続を示唆する発言もあり、結果としては円安への勢いを加速させました。
その後4月には最初の1ドル160円を超える円安となります。

具体例3:為替と株の大暴落(2024年7月)
この辺は「漫画で学ぶFX」にも記載してある通りです。当時、日銀は金融政策決定会合で0.25%の利上げを行い、ドル円は1ドル155円程度から141円まで急降下することになります
 詳しくはこちらをどうぞ↓

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【DAKURAのリアルタイム経済,投資漫画】 2024年7月に起きた日経平均株価史上最高値からの暴落と円高の関係です↓ 初回が難しい内容となりましたが、初心者さんにも分かる内容を今後増やしていきます! 終わり

これは極端な例ではあります。

2024年まで続けられた大規模な日銀の金融緩和が一転するのかといった憶測は、日銀の植田総裁による「金利の正常化」の旨の発言から拍車がかかりました。日本が政策金利を引き上げると言うことは、日本の長期金利が今後上昇していくだろうということをマーケットに予想させます。

円キャリートレード(低金利の円を借りて高金利の通貨や資産に投資する手法)と呼ばれる、低金利の日本円の運用が解消に向かったことにより、為替市場がトレンド転換を迎えた実例です。

これらは全て、各国の債券市場が為替に与えた影響であり、トレーダーや多くの投資家が先々を予想した取引を行った結果だということがわかります。明確なデータによるものです

債券市場を見てFXトレードに活かす方法

 FXトレーダーは、債券市場の利回りや価格動向を注視し、それに基づいて取引戦略を立てることで、より高い成功率を目指すことができます。戦略には次のようなものがあります。

  1. 金利差を利用したキャリートレード
    高金利通貨を買い、低金利通貨を売ることで、金利差による利益を得る戦略です。
    たとえば、2024年には米ドル(5%以上の利回り)と日本円(0%近くの利回り)の金利差が広がったため、USD/JPYのキャリートレードが有利な状況となりました。

    高金利通貨と低金利通貨を比較し、キャリートレードに結びつけるには高金利通貨の経済見通しが強かったり安定していることを先読みしていく必要があります。
    この辺も別記事かメンバーシップ限定に投稿します。

    また、円を売ってドルを買うことで、金利差から収益をスワップポイントとして得るトレードが挙げられます。
    日本円を借りてドルを買うことでリスク資産(仮想通貨等)への許容度が増すことで上昇が見込めるアセット(資産)もあり、この辺も別記事にします
  2. 中央銀行の政策声明をチェック
    中央銀行の金利決定は、FX市場に即座に影響を与えます。たとえば、2022年のFRBのFOMC声明や、2024年の日本銀行の政策金利発表を分析することで、長期的な利益を生むことができた可能性は広がります。
    また市場の動向を予測する材料にもなります。
  3. 債券市場の動向からトレンドを予測する
    債券市場のトレンドを観察することで、FXの取引タイミングを見極めることができます。米国債の利回りが上昇すると、米ドルは強化される傾向があるため、利回り上昇局面ではドルを買う戦略が有効です。

    11月には大統領選挙もあり、トランプ大統領になれば、財政出動を強く行う旨の発言をしているために国債の価値が下がり、債券の利回りが上がる可能性もあります。(トランプ氏は円安を是正する発言もありますが)
  4. 相場の迷いをなくす
    たとえばドル円をとっても、チャート一つと睨めっこしていても上に行くか下に行くかの材料が掴めなかったりより多くの判断材料から明確にトレンドを見極めたいことがあると思います。
    SNSの多くの情報に惑わされることもあるでしょう。

    そういった時にはひとつのチャートから離れ、債券のテクニカルを分析することで上昇と下落の判断材料になることは大いにあります
     
    正の相関が強いドル指数(ドルの強さ)と債券を見ることで、ドル円だけでなくさまざまな通貨ペアでもチャンスを発見することがあるでしょう。

    この辺は、ドルの取引量が通貨ペアに占める割合の88%というこちら↓の記事からお読みください。
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まとめ

いかがだったでしょうか。

データからも明らかであるように、債券市場とFX市場は密接に関連しており、特に金利の動向が通貨価値に強い影響を与えます。債券利回りの上昇が通貨の強化につながり、利回りの低下が通貨の弱体化を引き起こすというメカニズムを理解することは、FXトレーダーにとって極めて重要です。

トレーダーは、債券市場の動向を活用してより精度の高い取引戦略を立てることができるでしょう

また、市場全体のリスク環境も為替相場に大きく影響します。特に、リスクオン・リスクオフの概念は、投資家心理を反映し、為替レートの変動を予測する際に重要な要素です。

リスクオン・リスクオフとは?市場心理がFXに与える影響」の記事も作成中です。
リスクオンの局面では、投資家がリスクを取って高リターン資産に資金を移動し、リスクオフの局面では安全資産である債券や日本円、スイスフランなどが買われやすくなります。
これを判断するための指標として、VIX恐怖指数等があります。この指数が高騰する時期には、投資家がリスク回避を強め、リスクオフの動きが強まります。

VIX指数やリスクオン・リスクオフの詳細について知りたい方は、引き続き応援いただけると嬉しいです。

また、現在の債券市場や国際経済について先々を検討するのは簡単なことではありません。DAKURAの考察や、FXにおいてどのように立ち回るべきかのポイントについてはDAKURAプレミアム限定で配信しています

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